征服という語は前人未到の山頂への到達や

未解決の難問の打開などの行為を表現するために用いられることがあるが、これは比喩(ひゆ)的な用語例であって、本来の意味は、ある国家や民族などの社会集団が他の社会集団を実力によって屈服せしめることである。

国際法上の征服subjugationは、この事実に戦争終結と領域取得という二つの法効果を生じさせる。

すなわち、征服によって戦争は講和条約を要することなく終結し、また敗戦国は国家的存在を失って消滅して、戦勝国の領域に併合される。

1936年のイタリアによるエチオピア征服がこの例である。国際法上の征服が成立するためには、次の二つの要件がある。

第一は、相手国領域に対する実力支配が実効的かつ確定的なことである。たとえ全領域を占領されても、同盟国がなお戦争を継続している場合には、その占領が排除される可能性が残っているから、征服の効果は生じない。

第二に、戦勝国による占領地領有意思の表明が必要である。